髪も体も、乗り換えられない「一生モノ」だから

人体模型の写真。骨格、筋肉、内臓が見える半身のモデルと、透明カバーが並んでいる。
髪も体も、乗り換えられない「一生モノ」だから

「人の体は、一生乗り換えられない車のようなものだ」
様々な分野で、よく聞くたとえです。

新しいパーツをつけたり、車ごと買い替えたりできる機械と違って、僕たちの体は一度きり。壊れたら終わり、なんとか修理しながら、生きていくしかない。

毛髪も同じです。
頭皮や髪も、体の一部。
一度受けたダメージが、完全に元に戻ることはありません。

たとえば髪の毛。
よく「トリートメントしたら元に戻りますよね?」と聞かれることがあります。

でも、髪の毛は“死んでいる細胞”。
一度傷んだら、修復はできません。
トリートメントや補修剤で、手触りや見た目を一時的に良くすることはできます。でもそれは「回復」ではなく「ごまかし」に近い。

タンパク質や油分を加えて、コーティングして、あたかも良くなったように見せているだけ。
そして、「質の低い」シャンプーを使うと、日常のダメージでまた元に戻る。

僕が大切にしている考え方があります。
「壊さないこと」がいちばん大事だということ。

どんなに良いトリートメントをしても、カラーやパーマ、ブリーチを繰り返せば、髪の毛はどんどん痩せて、弱っていきます。

でも、現実にはこう考える人も多いです。
「カラーしても、パーマしても、ストレートしても、サロンに行けばなんとかなる」
これは、とても危ない考え方。

施術をすればするほど、髪も頭皮も“体力”を失っていきます。
美容室は、魔法の場所ではありません。

だからこそ、僕は「予防美容」を大事にしています。

東洋医学の考えをベースに、血流を改善して頭皮の環境を整え、健康な髪が育つ土台をつくる。
「Herb Magic」というプロダクトを、「家」で日常的に取り入れる。
ダメージしてから治すのではなく、ダメージしないように守る。

これが、本当に髪と向き合うということだと思っています。

もちろん、すべてを我慢する必要はありません。
「ブリーチに挑戦したい」「縮毛矯正をかけてみたい」——
その気持ちも、僕はとても大切にしています。

髪型で新しい自分に出会えたり、自信が持てたり。
美容は、そういう力もあるから。

ただし、それには必ず“リスク”が伴う。
だから、僕はお伺いします。
「なぜ、その施術をしたいのか?」
「その髪型をとおして、どうしたいのか?」

もしお客様が「それでもやりたい」と言うなら、僕は全力でサポートしますし、
最善策を考えます。
でも、何か問題が起きたとき、それはすべて“プロとしての僕の責任”です。

これが正解なのか、僕自身まだ答えは出ていません。
ずっと考え続けているテーマです。

でも一つだけ、はっきり言えることがあります。

髪も体も、一生もの。壊す前に、守る選択を。