「“早い・安い”の裏で失われるもの。」

美容師が丁寧にシャンプーをしている様子。リラックスして目を閉じるお客様。
“早い・安い”の裏で失われるもの。

最近、「早く終わるサロン」「時短カット」「クイックカラー」みたいな言葉をたまに見かけます。
もちろん、忙しい時代ですし、そういうサービスが必要な場面もあると思います。

でも僕は、少しだけ立ち止まって考えたいんです。
“早さ”や“安さ”の裏で、何が失われているのかを。


髪って、実はその人の生活リズムやストレスの状態、そして考え方のクセまで、全部出ます。
たとえば寝ぐせのつき方ひとつでも、
「朝に余裕がある人」か「いつもギリギリな人」か、けっこう分かるんですよ。

だから僕は、お客様の髪を切る前に、
「どんな生活をしているのか」とか「最近、髪がどう変わってきたか」みたいな話を必ずします。
そこを飛ばして“早く終わらせる”と、結局どこかズレた仕上がりになるんです。


僕が大切にしているのは、“時間をかけること”そのものじゃありません。
「その人に必要な時間をちゃんと使う」こと。

それは、早く終わる人もいれば、ゆっくり整える人もいる。
正解はお客様の数だけあり、みんな違います。

「早く終わるサロンも便利だけど、
たまには“自分のための時間”を過ごしてみようかな」

そんなふうに思ってもらえたら嬉しいです。

髪を整える時間は、
自分の心を整える時間でもいいと思っています。