白髪があるからヘアカラーをする、という“当たり前”への疑問

「最近、白髪が気になってきて……」
これはもう、本当に毎日のように聞く言葉です。
年齢も性別も関係なく、白髪や薄毛は**多くの人にとって最初の“老化のサイン”**として受け取られやすい。
で、ほとんどの方が次に取る行動は、だいたい同じです。
「とりあえず、染めますよね?」
うん、それは自然な選択だと思います。
白髪染めやカラーは、一番わかりやすく、即効性のある解決策ですから。
でも、1万人以上の髪と頭皮を見てきて、
世界中の髪質・肌質・頭皮環境を見てきて、
僕の中でずっと消えなかった“違和感”があります。
それは――
**白髪が気になる=すぐ染める、が本当に最適解なのか?**という疑問です。
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白髪の正体は「髪の問題」ではなく「頭皮の状態」
白髪って、
「年齢だから」「遺伝だから」「もう仕方ない」
そう思われがちですが、実はもう少し整理できます。
白髪に関係する大きな要因は、主にこの3つです。
• 頭皮の血流
• メラニン色素をつくる細胞の働き
• 頭皮の炎症・乾燥状態
つまり、
白髪は髪の問題ではなく、頭皮=皮膚のコンディションの問題なんです。
血流が滞り、
頭皮が乾燥し、
慢性的な炎症が起きている状態。
この環境では、メラニン色素はうまく作られません。
逆に言えば、
• 血流がしっかり巡り
• 頭皮が保湿され
• 赤みやヒリつきのない、炎症ゼロの状態
こうした条件が整うと、
白髪が減ったり、元の髪色に近づくケースがあることは、
医学的にも報告されています。
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それでも多くの人が「根本ケア」を選ばない理由
じゃあ、なぜみんなそれをやらないのか。
答えはシンプルです。
時間がかかるから。
地味だから。
すぐ結果が出ないから。
これは白髪に限らず、
仕事も、勉強も、健康も、人生そのものも同じですよね。
コツコツ続ければ変わると分かっていても、
人はどうしても「今すぐ変わる方法」を選びたくなる。
白髪染めは、その代表例です。
• 今日染めれば、今日キレイ
• お金を払えば、すぐ結果が出る
• 誰にでも分かりやすい
だから、みんなやる。
それ自体は、間違いではありません。
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ただし「染め続ける」ことで起きている現実
ここは、プロとして正直に伝えたいところです。
白髪染めに使われる多くのカラー剤には、
過酸化水素が含まれています。
この過酸化水素が、
• 頭皮に付着
• 残留
• 慢性的な酸化ストレスを生む
この状態が続くと、
白髪は「減らない」どころか、増えやすくなる。
つまり、
一時的に白髪を隠す行為が、
長期的には白髪を増やす行動になっている
この矛盾が起きているケースを、
僕は何度も見てきました。
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「じゃあ染めない方がいいの?」という極端な話ではない
ここで誤解してほしくないのは、
「カラー=悪」ではないということ。
白髪が気になって人前に出たくなくなる
気持ちが沈む
生活の質(QOL)が下がる
これはこれで、立派なストレスです。
だから僕は、
• 頭皮に薬剤をつけない
• ハイライト・ローライトで白髪をなじませる
• 必要以上に頻度を上げない
こうした**“頭皮を守る染め方”**は、むしろおすすめしています。
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本当に大切なのは「増やさない」という視点
正直に言うと、
「白髪を減らす」「完全に元に戻す」
これは簡単ではありません。
でも、
• 今より増やさない
• 悪化させない
• 将来の状態をキープする
これは、現実的に可能です。
これは医療で言うところの「予防」と同じ考え方。
病気になってから治療するのではなく、
ならないように整えておく。
美容にも、予防美容があります。
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予防美容は、意外とシンプルです
僕が提案していることは、
決して難しいことではありません。
• お風呂の中でできる
• 1日5分もかからない
• 特別なテクニックはいらない
ポイントは、
• 頭皮を乾燥させない
• 炎症を起こさせない
• 血流が巡る環境をつくる
そのために、
植物エキスをベースにしたケアや、
頭皮を「洗う」のではなく「保湿する」発想が重要になります。
続けられる人と、続かない人。
たったそれだけで、数年後に大きな差が出ます。
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流行りの技術より、もっと長い目で見る美容へ
白髪ぼかし
ハイライト
髪質改善
最新テクニック
もちろん、技術は大切です。
美容師として学ぶべきことでもあります。
でも、それだけでは根本解決にはならない。
僕が大切にしているのは、
その人の10年後、20年後の髪と頭皮を
どう守り、どうデザインするか
短期的な売上ではなく、
長期的な信頼と結果。
美容師は、
「染める人」でも
「流行を作る人」でもなく、
判断軸と知識を提供する存在だと、僕は思っています。
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もし今、
「白髪が気になる」という悩みがあるなら。
それは、
今から予防を始めるベストなタイミングかもしれません。
染めることも選択肢の一つ。
でも、それだけに頼らない。
そんなバランスの取り方を、
一緒に考えていけたらと思っています。

