なぜ「予防の美容」は広まらないのか?

“ダメージしてから”じゃないと動かない仕組みについて考える
美容の世界には、ずっと前から「予防」という概念があります。
紫外線ケア、頭皮ケア、エイジングケア…どれも“将来のため”に行うケアです。
けれど現実には、「髪がパサついたからトリートメントをする」「抜け毛が増えたから育毛剤を探す」というように、“何か起きてから”動き出す人が圧倒的に多い。
本当は、起こる前にケアを始めたほうが圧倒的に効果がある。
でもなぜか、美容では“予防”がうまく広まらないままです。
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「壊れたあとに治す」方が、お金になる?
少し言いにくいことですが、美容業界では“壊れてからの修復”のほうがビジネスとして成立しやすいのも事実です。
たとえば、カラーやブリーチで傷んだ髪に対して高価なトリートメントを提案する。
パーマのダメージで広がった髪に、オイルや縮毛矯正をすすめる。
頭皮の乾燥や炎症に、特別なスカルプケアを売り込む。
これって、最初からダメージさせなければ必要なかったケアかもしれない。
もちろん、すべてがそうだとは言いません。
でも、「あえて壊してから直すことで利益が出る」ビジネスモデルが存在しているのも事実です。
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僕が「予防」にこだわる理由
僕がヘアスタイルを提案するとき、必ず一緒に伝えているのが「これから先のためのケア」です。
今だけじゃなく、1か月後、3か月後、半年後の髪や頭皮の状態まで含めて、ヘアデザインを設計します。
たとえば、ヘアカラー、パーマ、ストレートをした後に、シャンプーでは取りきれない残留薬剤の除去。
これは、施術直後には何も感じないかもしれません。
でも、ここでちゃんと除去しておくと、1週間後・1か月後の「抜け毛」や「白髪」、「肌のアレルギー反応」、「ヘアダメージ」につながるリスクを大きく減らせる。
また、お客様のライフスタイルに合わせたシャンプーや乾かし方のアドバイスも、単なるホームケアではありません。
日々の“予防の積み重ね”が、未来の髪を守ってくれます。
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もっと「損得」じゃなく、「未来の自分」で選んでほしい
派手な変化はないけれど、確かな効果がある。
予防ケアって、実はとても地味です。
でも、その“地味な積み重ね”が、3年後、5年後の自分の髪や頭皮の状態を大きく変えていく。
だから僕は、流行や見た目のインパクトよりも、「これから先の自分が笑っていられる選択」をしてほしいと思っています。
髪も、頭皮も、体と同じで“壊れたら治療する”じゃなくて、
壊さずに済むなら、それがいちばんいい。