「年齢を重ねること」を、ネガティブに捉えなくていい理由。髪型にも、そんな視点があると思う。

「若く見せたい」
そう思う気持ちを、否定するつもりはまったくありません。
でも僕は、「年齢を重ねた自分」って、
もっと自由に、美しく、しなやかに楽しんでいいものだと思っています。
たとえば、髪のボリュームが少し落ち着いてきたり、
白髪が混じってきたり。
それを「隠さなきゃ」と思う方は多いけれど、
見方を変えれば、それは“新しい質感”や“色味”の入り口でもあります。
髪の変化は、悪いことではありません。
むしろ、その変化があるからこそ、
新しいデザインの可能性が広がっていく。
ボリュームが落ち着いてきた髪には、
重さを活かしたシルエットや、首元がきれいに見える長さ設定が合うかもしれない。
白髪が混じった髪には、
あえて透明感のあるカラーや、ハイライトを合わせることで、
むしろ若い頃には出せなかった柔らかさが出ることもあります。
僕のところには、「年齢的に、何が似合うかわからなくなってきた」と
相談に来られる方も少なくありません。
でもそういうときほど、
「どう見せたいか」ではなく、
「どうありたいか」という視点で髪型を一緒に考えていきます。
「隠す」より、「活かす」。
そして、無理に若く見せるよりも、「素敵に見える」ことを大事にする。
それが、僕が美容師としてお手伝いしたいことです。
髪は、毎日の中でいちばん自然に人の目に触れるものだからこそ、
無理がないスタイルが、いちばん輝く。
年齢を重ねたからこそ出せる「雰囲気」や「存在感」があって、
それは、トレンドや技術だけではつくれないものだと思います。
だからもし、今の自分に少しでも“しっくりこない”と感じたら。
それはネガティブなサインではなく、
「次のスタイルを探しはじめるタイミング」なのかもしれません。