美容師の役割は、“あなたの正解”を一緒に見つけること

前方を歩く女性と、その後方に立つ4人の男女のグループ。全員が落ち着いた色味の服を着ている。

美容師って、つい「正解」を知ってる側だと思われがちです。
髪の知識があって、技術もセンスもある。だから「これが似合いますよ」って、はっきり言えるのがプロ。——そんなふうに思われがちです。

でも、僕はちょっと違う考え方をしています。

たとえば、カウンセリングのときに「こうするとバランスが良く見えますよ」とか、「この形にすると小顔に見えます」みたいなアドバイスって、たしかに“理論上の正解”としては間違っていないことが多いです。
でも、それが本当に“その人にとっての正解”かというと、また別の話。

なぜなら、「正解」はその人の中にあるからです。
その人がどんな毎日を過ごしていて、何を大切にしていて、どんなふうに見られたいのか。
そこに目を向けないと、本当の意味で“似合う”スタイルにはならないと思っています。

たとえば、毎朝時間をかけられない人に、ブロー必須のスタイルは負担になるだけだし、
子育て中のママに、毎月根元が気になるようなヘアカラーをしても、むしろストレスになってしまう。

逆に、髪を通して「気分を上げたい」「新しい自分を知りたい」っていう方にとっては、
ちょっと冒険したハイライトや、パーマでのフォルムの提案が、毎日を変えるきっかけになったりもする。

だからこそ、僕のスタンスはこうです。

「僕の正解を押しつけるより、“あなたの正解”を一緒に見つけたい」

それが、美容師としての僕のスタンスです。

もちろん、技術的な知識や経験があるからこそ、そこにたどり着くための選択肢はたくさん持っています。
でも、それを一方的に提示するんじゃなくて、対話の中から「自分でも気づいていなかった自分」に出会えるような時間を作りたい。

そのほうが、髪型だけじゃなくて、その人自身も変わっていくはずです。