タンパク熱変性とは?デジタルパーマや縮毛矯正をする前に知っておきたい、髪の中で起こること

デジタルパーマ中の様子。髪にロッドとコードが装着され、加熱処理が行われている

美容室で行われる縮毛矯正(ストレート)やデジタルパーマ。その仕上がりの美しさや、スタイリングのしやすさから、多くの方に人気のメニューです。

でもその裏側で、髪の中で実は「タンパク熱変性(たんぱくねつへんせい)」という現象が起こっていることをご存知ですか?

これは、髪の毛の仕上がりや扱いやすさ、そして将来のヘアスタイルの選択肢にまで関わる、大切なポイントです。


ゆで卵と同じ原理?「タンパク熱変性」ってなに?

髪の毛の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。

タンパク質には熱によって構造が変わる性質があります。わかりやすく言えば、“生卵がゆで卵になる”のと同じ現象です。

髪もこれと同じで、熱(ストレートアイロンやデジタルパーマのロッド)を加えることで、内部のタンパク質が変性し、髪の形が固定されます。これが「ストレートが持続する理由」「パーマが長持ちする理由」でもあります。


メリット:髪型が長持ち、スタイリングが楽になる

タンパク熱変性を利用することで、こんなメリットがあります。

  • 髪の形がしっかりキープされる(ストレートやカールの持ちが良い)
  • スタイリングが楽になる
  • 湿気でも崩れにくくなる
  • ロングヘアやミディアムヘアに向いている

特に、ミディアム〜ロングの方で「毎朝のスタイリングに時間をかけたくない」「同じスタイルをキープしたい」方には、非常に相性の良い技術です。


デメリット:髪が硬くなる、自然な動きが出にくくなる

一方で、デメリットもあります。

  • 髪が硬くなる(柔らかさ・しなやかさが失われる)
  • ナチュラルな動きのあるスタイルが出しにくい
  • 一度変性した髪は元に戻らない
  • 縮毛矯正では定期的なリタッチが必要

特に縮毛矯正の場合、根元の癖毛が伸びてくると境目が目立つため、定期的なメンテナンス(リタッチ)が欠かせません。

また「その日の気分で髪型を変えたい」「カールもストレートも楽しみたい」という方には、タンパク熱変性を利用しすぎるとヘアデザインの自由度が制限される可能性もあります。


デジタルパーマ vs コールドパーマ:持ちはどっちが上?

パーマには「コールドパーマ(薬剤のみ)」と「デジタルパーマ(薬剤+熱)」があります。

  • コールドパーマ: 柔らかい質感。動きは出るが持ちはやや短め
  • デジタルパーマ: 熱によってカールを固定するため、持ちが良い。特にロング・ミディアムヘア向き

重力の影響で、ロングヘアのパーマは取れやすい傾向がありますが、熱変性によって形をしっかり固定するデジパなら、比較的長持ちさせることができます。


カラーとの相性:明るくなりにくい?暗く沈みやすい?

意外と見落とされがちなのが「タンパク熱変性とカラーの相性」です。

  • 熱変性した髪は、明るくなりづらくなる
  • 同じカラー剤でも、暗く沈んで見えやすい
  • 特にハイトーンやブリーチを考えている方は注意が必要

すでに熱変性している髪は、光の反射が変わるため、カラーの発色にも影響が出ます。特に「明るめカラーを楽しみたい方」や「ブリーチを使いたい方」には、縮毛矯正やデジパのタイミングや順番に注意が必要です。


あなたにとって「必要かどうか」が大切

タンパク熱変性を使った施術には、確かなメリットがあります。けれども、それが「あなたの理想のヘアスタイル」や「これからの髪の楽しみ方」にとって必要かどうかがもっとも大事です。

  • 決まった髪型を長くキープしたい → 〇向いている
  • 毎日違うスタイルを楽しみたい → △注意が必要
  • カラーもハイトーンも楽しみたい → △併用の順番・計画が必要

髪の未来に関わるからこそ、その場しのぎのスタイルではなく、数ヶ月後・1年後のあなたの髪まで考えた選択を。


ヘアデザイン=未来の素材作り

髪は“素材”です。そしてその素材をどう扱うかで、未来のデザインの幅が決まります。

ストレートやデジパを考えている方は、ぜひ「今だけでなく、未来の自分の髪のために」どうするかを一緒に考えましょう。

あなたのなりたいヘアスタイルに、最適な方法で近づけるよう、お手伝いします。