美容整形と髪の施術 ― 似ているようで、大切なのは「引き際」と「個性の尊重」

美容整形と髪の施術。
一見まったく違う世界に思えるかもしれませんが、僕はとても似ている部分があると感じています。
なぜかというと、どちらも「コンプレックスを解消すること」から始まるからです。
例えば、美容整形で鼻や輪郭の悩みを解消すること。
あるいは髪型で顔の印象や雰囲気を変えること。
その“第一歩”は、とても大きな勇気であり、人生を変えるほどの意味を持つこともあります。
大切なのは「やりすぎないこと」
けれども問題はその先。
コンプレックスを解消したあとに、さらに「もっともっと」と欲が強くなると、止まらなくなってしまうことがあります。
美容整形でよくある話ですが、必要以上の手術を繰り返すと、皮膚や体に無理がかかり、かえって健康や自然さを損なうことがあります。
髪の施術も同じです。
カラー・パーマ・ストレート。
髪の状態や髪質を無視して無理をすれば、取り返しのつかないダメージになる。
なぜなら、髪は「死滅細胞」であり、一度傷んでしまえば元には戻らないからです。
トリートメントで手触りを良くすることはできても、それは一時的なコーティングに過ぎません。
だからこそ、僕たちプロは「やらない方がいい」と判断した時には、勇気を持って止める必要があります。
お客さまが望んでいたとしても、そこはプロとして“引き際”を見極める責任があると思っています。
「個性を受け入れる」ことが本当の美しさにつながる
美容整形にしても髪型にしても、根本的に大切なのは 「自分の素質を受け入れること」 です。
自分が「嫌だ」と思う部分も、「いい」と思う部分も含めて、そのままの自分を一度受け止める。
そして、その中でどう個性を輝かせていくかを考えること。
無理に変えすぎる必要はありません。
むしろ自然体で、自分の持っているものを活かした方が、周りから見ても「美しい」と感じられることが多いのです。
プロとしての役割
僕はこれまで、世界中で1万人以上のお客さまを担当してきました。
国籍や人種に関係なく、共通して感じるのは、「誰もが必ず美しい素質を持っている」 ということ。
だからこそ、美容師としての役割は単に髪を変えることではありません。
お客さまが持っている個性を引き出し、自然に輝かせること。
そして時には「それ以上やらない方がいい」と寄り添いながら伝えること。
そうしてこそ、髪型も、そしてその人自身の魅力も、長く美しく保たれていくのだと思います。